Information Sharing / 情報共有掲示板

08.05.2017

 中東欧の日本語教育を支えてくださっている皆様、いつもありがとうございます。

 日本の文化や社会を紹介する際に、動画は欠かせません。そこで、これまでCMと地方自治体のPR動画を取り上げてみました。
 日本語教師の重要な役割として、教室という閉じられた空間から学習者を連れ出すことがあると思います。学習者はやがて独り立ちしていくのですから、教師としてはそれを全面的にサポートしていかなければなりません。実際に連れ出す、あるいはいきなりソトの大海に放り出してしまうことも大切ですが、それがなかなかかなわない場合は、教室の空間をソトにつなぐことが重要です。これまで、村上専門家がソーシャル・メディアの分野で尽力されてきたことは、まさにその部分です。
 教室がソトとつながるときには、やはり多様な窓があったほうがよいのではないでしょうか。つないだ先がいきなりヤクザの世界というのも困るのですが、できるかぎり「真実」で「本格」が見えるようなものが望ましいでしょう。パロディやエンターテインメントでももちろんよいのですが、そこには「但し書き」が必要です。

 ということで、今回は日本政府観光局(JNTO)の公式サイト(http://www.visitjapan.jp/)を紹介します。ここには170本以上の質の高い動画があり、「観光目的地としての日本の魅力」が紹介されています。残念ながら、日本語、英語、韓国語、中国語のみの対応ですが、映像を字幕で見ることができるので、学習者の助けにはなると思います。文化・社会理解のための「おすすめの映像」(http://www.visitjapan.jp/ja/recommend/)のほかに、エリア・ルート別(http://www.visitjapan.jp/ja/area/)でも調べることができるようになっています。
 このなかで、盆踊りの紹介や祭りのイベントの際に、私自身がよく使うものは、「訪日観光の三つの価値イメージ映像」(https://youtu.be/cISBKi6nDEE)です。6分40秒とやや長いのですが、日本人の様々な表情が阿波踊りという伝統的な「祭り」に収斂されていく様子がよく描かれています。これには短縮版(90秒版)(https://youtu.be/s3SQK1GU5pg)もあるのですが、やはり長いもののほうが制作者の意図がはっきりと伝わります。
 東京にいるときにはあまり感じなかったのですが、大阪の泉州地域に住むようになってから、町を挙げてのだんじり祭の熱狂に触れ、何が人々をそうさせているのかに疑問を持ったときに、ちょうどこの映像に出会ったということもありました。実は、そのだんじり祭の様子も、この動画の5分28秒のあたりから5秒ほどですが出てきます。伝統的なものと現代的なものが共存する日本というのは、様々な場面で言及されますが、その伝統的なものに取り組む現代人の心情を端的に描き出しているという点で、この動画はわかりやすいものだと思います。

 次のおすすめは、日本語学習ウェブサイト「ひろがる」(https://hirogaru-nihongo.jp/)です。これは、国際交流基金関西国際センターが制作した無料日本語学習サイトで、趣味などの自分の楽しみを通して日本語と異文化理解能力の育成を支援する目的で作られたものです。その意味では、「日本語学習用」で、レベル的にも「JF日本語教育スタンダードのA1、A2レベル(入門~初級)」を対象としており、そのレベルの日本語力でも「わかる」「使える」実感を得ることができるというコンセプトで制作されています。ところが、ここで取り上げられている12のトピック(星・夜空、アウトドア、武道、カフェ・お茶、書道、アニメ・マンガ、スイーツ、スーバー・市場、本・図書館、寺・神社、音楽、水族館)の「トップ動画」や「トピックと私」の動画コンテンツは、意図的に日本語レベルがコントロールされたものではないので、まったく不自然さがありません。そして、日本語母語話者にとっても興味深い内容が展開されています。さらに、「コメント」を書く欄が設けてありますから、自分の発信したことばを世界中の人々と共有することもできるようになっています。自分の好きなトピックを選んで、コメントを書き込むようなタスクを実施してみるのもよいのではないでしょうか。

 最後に紹介したいのは、「THE JAPNESE TRADITION 日本の形」(http://www.digital-voice.net/JPT/)です。このDVDは10年以上前に発売されたもので、ネット上にも拡散しているので、ご存じの方も多いかとは思いますが、もちろん完全なパロディです。見ているだけでおもしろいのですが、どこが変なのか、そこがなぜ笑いのツボになるのか、等々を学習者に考えてもらうのもよいのではないかと思います。
 ラーメンズのコントには、ことばネタや文学ネタが多いので、上級者向けにはよいかもしれません。彼らの公式サイト(https://www.youtube.com/channel/UCQ75mjyRYZbprTUwO5kP8ig)には、2017年1月1日から各地の復興支援として、映像ソフト化されている自身のコント映像100本が公開されています。この動画で得られる広告収入は、日本赤十字社を通じ寄付されるということです。「不思議の国ニポン」(https://youtu.be/enoUCj-WNCI)では、都道府県ネタが日本語の授業のように展開されています。

 以上のような多様な窓を用意することが、日本語学習に対するモチベーションを高めることに一役買ってくれれば嬉しいかぎりです。

 なお、ここで紹介するコンテンツの内容につきましては、国際交流基金制作のコンテンツ以外は、国際交流基金ブダペスト日本文化センターが積極的に同意、支持などをしているわけではありません。様々なレビューなどをご参考の上で、各自のご判断でご利用ください。